いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療
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いびきを放置するのは危険です

いびきは、寝ている間に気道が狭くなることで発生する音のことです。

● いびきのメカニズム

日常は、呼吸をしている時は気道が十分開いています。ところが、寝むっている時に舌の根部分が気道に落ち込んで気道が狭まると空気の流れが停滞し、息が通るたびに粘膜(鼻腔や咽頭)部分が振動し、それが音として発生します。

状況次第では、気道を塞いでしまい空気が通らない=呼吸ができない…という状況が続くことがあります。

気道が狭まる原因として、肥満による気道圧迫やアルコールによる筋肉の脱力など様々な原因が考えられます。いびきが酷くなると睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気になります。

診断基準として、呼吸が10秒以上にわたって止まり、1時間に5回以上、もしくは、7時間の睡眠時に30回以上起こるというのが、基準とされています。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状として

● 家族からよくいびきをかいていると言われる

● 家族から就寝時呼吸が止まっていると指摘される

● 目覚めが悪い、またはだるい

● 朝起きた時、頭が痛い

● 息が苦しくて目覚めることがある

● いくら寝ても昼間必ず眠気に襲われる

● 夜中、二回以上トイレに起きる

● 就寝してから朝まで何度も目を覚ます

● 顎が小さい

こんな事故も起こりました

2003年2月に山陽新幹線で起こった列車緊急停止事故をご記憶の方も多いでしょう。乗客を乗せた新幹線が、運転士が眠ったまま時速270kmで走りつづけたのです。原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠りと分かり、社会問題となりました。

重度睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人での事故率は、普通の人の7倍だとも言われています。“いびきはうるさい”の話では済まされない問題になっています。

 治療法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度や原因に応じて以下の治療方法があります。

● 経鼻式持続陽圧呼吸(CPAP)

閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。
CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開いておくことで無呼吸状態とさせないというものです。(医科で使われます)

● スリープスプリント

歯科で使われる治療法。睡眠時に特殊なマウスピースを装着し、下顎(あご)を少し前に出した状態で固定する方法です。

そうすることによって、仰向けに寝ていても下顎(あご)が下がらず気道を塞ぎません。空気の通りがよくなるため、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法です。

マウスピースをつけて寝るだけ、と思うと手軽に思えるかも知れませんが、必ずしも全ての症例に効果的な治療方法というわけではありません。

● 外科手術

耳鼻科もしくは、専門外来での診断を受けてからのお話です・・・。すべての睡眠時無呼吸症候群(SAS)に有効というものではありませんが、気道を塞ぐ部位を取り除く根治療法です。

小児の多くや成人の一部で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因がアデノイドや扁桃肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合があります。
軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除する手術法もありますが、治療効果が不十分であったり、数年後に手術をした部位が瘢痕化して睡眠時無呼吸症候群(SAS)が再発することが少なくありません。

上記のように、外科的治療は限定的ですので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療は長期に及びます。治療に当たって生活習慣の改善が必要になるのは言うまでもありません。

肥満気味の方の場合は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量も治療の一環になります。
また、鼻づまりや鼻の諸症状で鼻呼吸がしにくい場合には、まず鼻症状の改善から取り組む場合もあります。

歯科での睡眠時無呼吸症候群(SAS)は保険治療が受けられます

2004年4月より睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され紹介された患者さんはスリープスプリントの製作を健康保険でできるようになりました。

まずは、耳鼻咽喉科や専門外来(睡眠外来)、呼吸器科などで受診をしてください。そこで、睡眠時の脳波や呼吸、血中酸素濃度を測定して総合的に診断していただいてください。

そして、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され、紹介状を持参された場合は、健康保険の適応となりますが、紹介状がない場合は自由診療となります。ご注意ください!

中等症までの睡眠時無呼吸タイプに対しては比較的効果が見られやすい一方で、重症の方の場合には治療効果が不十分とされる報告もあります。したがって、重症の方は適応できない場合があります。

当院のスリープスプリントは、装着時の疼痛や違和感を軽減するために特殊な方法でスリープスプリントを製作しております。

健康増進・健康長寿のためには質の高い睡眠も大切です。
スリープスプリントの使用をひとつのきっかけとして、いつまでも健康な暮らしを送れるよう、“いびき・睡眠時無呼吸症候群の改善”に取り組みましょう!ご興味のある方は、
お気軽にご相談下さい。

 

 

投稿日:2017年1月14日  カテゴリー:未分類